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【ストーリーレビュー!】アルカ・ラストは群像劇×同一個体×並行世界の傑作ストーリー【アルラス】

アルカラストは幻想水滸伝のスタッフが関わっているソシャゲで2019年にリリースしています。幻想水滸伝でもキャラデザを担当している河野さん筆頭に、ところかしこに幻想水滸伝要素がちらほら。その最たるものが「群像劇RPG」と銘打っているストーリーです。

今回はゲームレビューではなくストーリーレビューになります

目次

アルカ・ラスト-終わる世界と歌姫の果実-とは

ある日世界に破壊者が召喚された。
世界を「正しく」終わらせるために。

アルカ・ラストのストーリーは「世界を正しく終わらせる」ためにそれぞれの世界の歌姫が召喚した「破壊者」たちが行動し、間違った終わりではなく正しく終わるための旅をすることになります。「正しく終わる」なら世界が果実を生み出し、破壊者が歌姫(クレイ・シス)にソレを渡すことで旅が終了です。

ただ、終焉の果実を狙ってウロボロスという存在が次元の狭間を突破して世界を駆け巡っています。ウロボロスは終焉の果実が大好物なのです。ウロボロスを撃退しつつ、破壊者たちは世界を正しく終わらせるために人々を導くことができるのか――――――世界が絡んでストーリーの謎が解けるときは最高に気持ちが良い。

世界の終わりと言うよりも

ただ私はプレイした限りでは、「世界の終わり」というよりも「時代の終わり」の方が正しいのかなと思いました。世界が終わるとなると、FGOの2部みたいな話かなと思ってしまいましたし。また今回の章はどんな感じで終わるんだろうなあ、と考えてしまいます。個人的に漆黒編の終わり方が好き。

◯◯編という名前と独立しつつも相互に関係があるという構成からアルカ・ラストは畜生バード「火の鳥(手塚治虫)」をモチーフの一つにしているのかなと推測しました。降灰編と輪廻編のあらすじとか未来編っぽいし。私は、これは火の鳥のフォロワー作品だろうと思って読みました。あながち間違ってはいなかったと言えるかもしれない。畜生バードみたいな奴、いるしね。

各世界の同一個体

並行世界とも呼べる各世界には別のストーリーで登場したキャラクターが立場や環境を変えて登場します。同一個体とも呼べるのでしょうか。ただストーリーは違えどほぼ似たような立場になっていますね。そして各世界では必ず国王サイファと女王ゾーイが登場し、二人は対立しながらも報われぬ気持ちを思いあい、最後は必ず死んでしまいます。まるでそうなるのが定めのように。そして二人は古よりの運命の呪いなのかなと思いましたが、そこまで大がかりなことではなくて各世界の「終わりの象徴」という存在でした。だから死ぬ定めなのね。

特にフォルカーやイネイドというキャラクターはどのストーリーにも登場し、破壊者(主人公)やイロンデールと一緒に行動していきます。大体似たような設定で各世界に登場。他にもアンゼルムは小物の野心家で最終的に殺されたり、パスカルはどっちつかずで決められずに殺される、トライゾンは最初はサイファに従っているけど野心をむき出して死ぬ、アレクサンドラはゾーイの近臣として仕えるなどストーリーごとに似たような末路を迎えるケースがあります(時々違う末路もある)。

本編のネタバレが大いにあります。ご注意ください。

ゆきんこ

私の解釈や価値観もあるので、違うぞ!と思ってもスルーしてください

ゆきんこ

なお凍土編までは自力でクリアしましたが、灼熱編以降は解放されたストーリーを読みました。

黄昏編~贖いのアリア~

テーマは“権力の破壊”、権力で圧制された世界。

権力で圧制された世界

セレネイア帝国による統治が続いて数百年。

第12代皇帝サイファの代で隆盛を誇った帝国は、
国民に愛されていた皇妃ゾーイが流行り病に
倒れたときを境に、急速に陰を見せ始める。

貴族たちによる政治の腐敗が進み、
帝国による『人間狩り』も激しさを増し、
民の不満は限界に達していた

破壊者(主人公)――クロウ

開始早々、帝国への反逆のレジスタンスが王城に乗り込むところからスタート。皇帝サイファは妻ゾーイを延命させるために人間の魂を使って生きながらえる秘術を使っていた。ゾーイを愛するサイファは人間としての道を踏み外し、彼女のためなら国を挙げて行動。結果、帝国が滅んでも構わないという暴挙に至る。帝国の反逆レジスタンスのトップ、フォルカーと共にサイファを打ち倒したクロウ達だったが、直後現れたウロボロスにクロウ達は敗北し、もう一度やり直しになってしまう。

当初はループモノかなと思った。何度もやり直してるストーリーだったので。そして仲間を集めながらレジスタンスのトップになるあたりは幻想水滸伝の2主人公を思い出す。ループしてる描写がこのクロウだけだったので、クロウは相当失敗しているのかな。革命起こすようなモノだしそりゃあね。
EDに各キャラのその後が流れるの、幻想水滸伝じゃん!とびっくりしてしまった。

漆黒編~Another Sky Resonance~

テーマは“信仰の破壊“、闇に閉ざされた世界

闇に閉ざされた世界

無差別に降り注ぐ『光撃』によって、
人々が苦しめられている世界。

世界を覆う黒き神『ロ=ククス』を崇める
テネブラエ女王国の女王ゾーイ、

古の白き神『アルブム』を信仰する
神聖アルバ王国の再建を掲げるサイファと
コルアルブム教団。

長きに渡る、二つの神を信じる者たちの争いは、
激しさを増す『光撃』の中で均衡を崩しはじめる。

破壊者(主人公)―――ヴァローナ

世界に光を取り戻す英雄として召喚された主人公ヴァローナは、サイファとゾーイの陣営を行き来しながら情報を集め、ロ=ククスの真実を突き止めていく。そして2つの陣営の背景で暗躍するコルアルブム教団。信仰者というより狂信者?狂信者のふりした銭ゲバ?色々悩んでしまった。やり直してるシーンがないから一発突破かと思ったけど、もしかしたら見えないところでやり直しているのかも。

クマちゃんが可愛い。いきなり環境が激変すると適応する個体が出てくるまで時間がかかるよねって話。世界が終わるまで(=光に耐えうる次世代が来る)待ち続けたヴァローナの姿がジーンと来た。こういうのだよこういうの。こういうの好き。ここで世界というより時代が終わるんだなぁと実感。黄昏編の最初に出てきた彼女たちから見た視点も味わえて、群像劇だなぁと思った。

凍土編~逆さまの世界にて~

テーマは“過去の破壊”、全てが凍てつく世界

全てが凍てつく世界

全てが凍りつき、母なる山『ポーネ・メテル』と
ふもとのクランのみが最後の安息地となっている世界。

そこではポーネ・メテルに仕える司祭ゾーイを
中心に束の間の平和が保たれていた。

しかし、氷原で過酷な生活を強いられていた一部の人々は、
新興国『ボルボス帝国』の王、サイファの元に集い、
他のクランへの侵攻を開始するのだった。

破壊者(主人公)―――コルネイユ

主人公が理性的で一歩引いてるところもあって、ストレスを感じず読むことが出来た。ひたすら往復して走ってる主人公が大変だと思った。時代的にマンモスが出てきてもおかしくなかった。陸と海の民で差別があって、海の民の内部でも差別があるというのはどヒエラルキーなんだなあと思った。難民が流れ込んで受け入れてほしいと良い場所の提供を約束した司祭ゾーイ。しかし実態は受け入れる場所はほぼなくて……というところでは、あー自分の見える範囲が世界だと思ってる人の考えだよなと思ったし、もしかしてこのゾーイは卑弥呼がモデルかなと感じた。
司祭ゾーイはサイファに殺されるも屍体は氷の棺にとらわれていた。彼女の屍体から魔力が伸びた先は封印されていた箱だった。

封印の箱の正体は黄昏編で湖の底に沈めたゾーイだった。本人が望んでいないのに周囲に振り回されて本当にこのゾーイが可哀想。最終的にウロボロスが開けた穴で氷が下に流れ込んで干上がった、という解釈で良いのかな。どれくらい時代が経過したのか微妙にわからなかった。さすがに数日で砂漠化するとは思えないし。この世界の人間全員死に絶えたの?
この章のパスカルは普通の人がトップになったら重圧に耐えきれなくて逃げる、を体現してる。

灼熱編~逆さまの世界にて~

テーマは“理想の破壊”、熱砂の吹き荒れる世界

熱砂の吹き荒れる世界

天と地に二つの太陽を持つ、灼熱の世界。

人々は水辺や山影にポリスを形成し、
限りある資源で生活していた。

ある時、『ポリス・ファナム』の長、サイファが、
突如、他のポリスへの侵攻を企てる。

最大のポリス『ポリス・ガレエ』の長、ゾーイは、
サイファの暴挙を止めるべく、
ファナムを急襲するのだった。

破壊者(主人公)―――シュカ

開始早々アンブルムの企みとオウィとの会話から始まった。オウィ今度は悪人側か?と思ったけど実はそうでもなかった。シュカの召喚直後にガレエからの奇襲があり、国王サイファは捕まってしまう。しかしサイファは他国を攻めると言っていた。サイファを取り返しに行ったとき、サイファは暴虐な王から一変、普通の国王に戻っていた。サイファは地の太陽と見に行ったときに付き人の突き飛ばされて炎のかけらを宿してしまっていた。炎のかけらは宿主の殺意を増幅させる効果があって、取り外すには熱石とジネットの術がなければ無理だった。

主人公としてはシュカみたいな子が普通だけど、今まで自制心と理知的(リアリスト)に溢れた主人公ばかり見てきたから、ストレスが溜まってしまった。少しは怪しめ! 凍土編でトライゾン(灼熱)が出てきたとき、なんで獣だったんだろうと悩んでいたけど、理由がわかって納得した。凍土で氷が抜けて砂漠になったけど、灼熱は逆でウロボロスの穴で砂が抜けて氷の世界になってしまった。凍土編と灼熱編は黄昏編の苦労や漆黒編の時間経過に比べて世界の終わりがなんか雑な処理だなと思った。

東方編~決断のDivergence~

テーマは“栄冠の破壊”、黄金郷から凋落した世界

黄金郷から凋落した世界

かつて、黄金郷と呼ばれ栄えていた世界。

数多の世界の伝承に登場し、理想郷、桃源郷とも
呼ばれていたその世界は、『大いなる厄災』により、
無数に開いた『次元の狭間』の影響で、他の世界からの
無差別な侵入、略奪を受け、荒廃の一途を辿っていた。

唯一残された、皇王サイファの治める『ジダ皇国』は、
巫女ゾーイの張る結界で辛うじて存続していた。

破壊者(主人公)―――ウーヤ

ウロボロスに立ち向かうためエルフの秘術で作られた宝珠とその武器で挑んだ十傑、サイファがいる時代とサイファが死んで100年以上経過した時代の2部構成。またイロンデールがなぜ次元刀の欠片を集めるのか、彼がどうして同行人として他の破壊者についているのかの理由が一部解明される。今まで理性的だったイロンデールが若造として書かれている。ウロボロスが開けた穴が大量にあってそこから別の世界のいろんな時間に繋がる。例えば漆黒編のロ=ククスがいなくなった時期と、覆っている時期が登場する。サイファが死んだ時代は残された宝珠を巡って御三家(正確には2つ)が水面下で争っている。

今までのストーリーの総集編であり、かなり重要な章だと思った。解明される伏線が多いので「あ、これかぁ!」と膝を叩く箇所が多くなり楽しめた。
人々が別の世界に移住して最終的に誰もいなくなり荒廃したジダ皇国になった。しかし時代は経過しても世界は終わりを見せないのでウーヤたちの戦いは続くよエンド。彼だけ背負う業がおもすぎる。他の破壊者も彼を助けてあげてくれ。
そして宝珠を持ったタケミツはどこにいってしまったんだ。

降灰編~囚われのChiral~

テーマは“利己の破壊”、汚れた煙に覆われた世界

穢れた煙に覆われた世界

汚染された煙が広がり続け、
地表で生活することができなくなった世界。

人々は『ジグラート』と呼ばれる巨大な高い塔を建設、
汚染層から逃れるように生活していた。

現存する最後のジグラート、『ジグラート・イオ』の
最高管理責任者サイファは、上昇を続ける汚染層、
塔の老朽化、そして汚染層に残った人々による
犯罪の増加に頭を悩ませていた。

その一方で、探索隊の隊長ゾーイは、
ある人物に会うため汚染層に降りて行くが…

破壊者(主人公)―――ルク&ルカ

二人を呼び出したのは汚染にまみれた世界に聳え立つ塔の中層に住む子供達。子供達は攫われることが多いらしい。また良い子にしていれば上層から養子として迎えがくるという。ルクとルカは本を通じて互いに情報を交換し合っている。下層部にこの塔を設計したウェルナー博士がいるのでゾーイが迎えに行っているが連絡が無いので探しにいってほしいという依頼を受ける。ミイラ取りがミイラになるのではないか。東方編で登場した虫使いの正体がここでわかるし、漆黒編の世界の始まりも判明する。こんな始まり方だったのか凄い。灼熱編の地の太陽や黄昏編のトライゾンも再登場。そして最後の脱出船がウロボロスによって炎に包まれて目指した別の世界、輪廻編の隕石になっていく展開に。

この章もとても重要な章だと思った。完全なリアリストのルクとルカがわかりやすくて一番好きな主人公かもしれない。彼奴は「この世界だから自分達が呼ばれた」「自分を呼んだのが子供だから子供の姿だった」など、物語の核心に迫る言葉を残しているので、すごく続きが気になる終わり方。なによりこの章はとても綺麗に終わったと思うし(汚染が全部消えた)、他の章に比べてウロボロスが全然出てこなかったのも不思議。
ただこの世界のパスカルは本当に嫌い。愛に堕ちたサイファは黄昏編を思い出した。いつもこき使われて最後は死ぬウェルナーも生きてるし、小物大爆発のアンゼルムも意外な死に方するし、今までの章のお約束とはまるで違った。

輪廻編~輪廻のパラドクス~

テーマは“不可能の破壊”、滅亡を繰り返す世界

滅亡を繰り返す世界

未来予測型防衛システムによって、
すべての危険は事前に予測され、
対処や防衛を行うことで平和を維持している世界。

しかしあるとき、
避けようのないほど巨大な隕石の衝突が予測される。

事態が差し迫る中、
精霊局の局長ゾーイは独断で古の秘術を発動させるのだが…

破壊者(主人公)―――フルー

未来予知システムのおかげで危険が察知され対処することで安全を守っている。この世界を、降灰編で脱出した船が燃えて隕石となって落ちてくることが判明。この世界を正しく破壊するために行動するフルーだが、何故かこの世界だけでは失敗しループした記憶を持っている。それはゾーイによる時を戻す秘術だった。そしてシステムを停止させるため内部に入って安全装置を外した瞬間、システムは自己進化を遂げて姿を変えてしまい、次元の狭間をあけてどこかに跳びだってしまった。このシステムはウロボロスと言った。

全ての始まりにして謎が解ける章。手に汗握る展開で面白かった。そうか、そうか、そういうことか。破壊者って二つ名じゃなくて名前だったのね。ウロボロスの自己進化ってどうみてもアルティメット細胞。システムに支配されてる世界って火の鳥未来編だからシステムはきっと「ハレルヤ」だね。各世界の仲間達が集うシチュエーションはお約束だけど熱い!知らないキャラも大勢いたし、彼らのストーリーもあるんだろうな。その後の最後の戦いも含め、私の考察ってそこまで間違っていなかったのでは、と思った。
ルフが生まれた理由ってそんな理由だったのか。なにより滅亡する世界を目の当たりにしても挫けず何度も挑むフルーの心の強さに感服した。やる気なさそうなキャラだと思ってごめん。

イベントストーリーも面白い

アルカ・ラストは「群像劇」と謳っている通り数多くのキャラが登場し、メインストーリーに絡まないキャラも大勢います。そのキャラのストーリーはイベントストーリーや個人ストーリーで確認することが出来ます。
復刻されていて見れるストーリーも多くありますが私が見たモノを紹介。

巨神戦役

凍土編の一致団結で出てきたフーゴやエルネストの話。時代としてはコルネイユより一世代前。降灰編のアンゼルムの辺りでちょっと出てきたっきりでしたが、実は裏側では……というもの。アンゼルム達が侵略しようとしていた世界、虫使い達の恐ろしさがわかるストーリーでした。これはメインでやるべきでは? そしてこの凍土編のフーゴ、絶対女子人気高いでしょう。

灼熱のタイガ~タイガの一擲

時代としてはシュカが来る前かな?メインで登場するポリス以外の弱小ポリスでのお話。襲撃されて奴隷になって売られるというのはメインストーリーでも少し見られたけどこちらではより顕著で確認できた。人を信用せず孤高の男のタイガが最後にちょっとだけ人を信用するのが良い話しだと思った。

アルカ・ラストのまとめ

壮大なストーリーだった……。

まさか破壊者の設定があんな設定だとは夢にも思わなかった。スレイヤーズの魔王やんけ。破壊者が集合したとき、互いの名前を呼ばなかったのもそういう理由だったんだね。魂の仮留めの辺りはふんわり聞いていたから、皆大集合できたのは仮留めのおかげだったんだなあ、としみじみ。最後のフォルカー大集合会話は笑ってしまった。よくあれで混乱しないよなあ。方舟で慣れたからかな?

推しキャラになり得そうなイケメンは最後までいませんでした。敢えて言うなら「破壊者」が一番近いかも。「創造者」はどっかで見たことあるキャラデザなんだよな……いや、ああいうキャラデザはどこにもいるから逆に良いのか。
でも最初に考察した予想が少し当たっててよかった。全然かすりもしないやんけ、と思われたかもしれないけどね。

ここまでお読み頂きありがとうございました。シナリオブック売ってないかな。

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